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生地の補修はおまかせアレ

先般、毛玉についてご相談がありました。

「股の部分と左の尻ポケット周辺に毛玉が出て困っています。
直りますか?」とのこと。

この生地、素材はウール100%で化繊が混紡されているわけではないのですが、
「バスケット織」という織の特性上、摩擦に敏感でして、擦れる部分は毛足ができ
さらにそれが巻きついて「毛玉」になってしまうようです。

以前、私もロロ・ピアーナの生地だったんですが、同じくバスケット織で同じような現象が起きました。
その私の服はブレザーでしたから、パンツほど摩擦が起きるわけではないにもかかわらず、肘の内側の曲げる部分に同じような毛玉がたくさんできました。

理由は前述した通りですが、ウール100%であることがその原因になっていることでもあります。

ウールというのは今さら申し上げるまでもなく羊毛なのですが、その特性としては決して摩擦に弱いわけではありません。
しかしながら、それは「乾いた状態である」ことが前提の特性でして、濡れたり湿気を帯びると条件は変わります。
途端に摩擦には弱くなってしまい、例えば「肘の内側の曲がるところ」や「股の部分」など汗の影響を受けやすいところは、こんな風に「毛玉」や「ももけ」が起きやすくなります。

この毛玉は直らないのか?というと、結論から言うと除去することはできます。
ただし、残念ながら着用しているうちにまた発生はすると思います。

発生→除去→発生→除去……………の繰り返しになりますが修正は可能。


で、直し方ですが、私はこんな風にやります。

まずは毛玉をヒゲ剃り用のシェーバーで、ヒゲを剃る要領で擦ります。
ただしこの時、生地を真っ直ぐ平らにして擦らないと、波打った箇所に刃が入ると生地を切ってしますので要注意!

注意深く毛玉を取るとクリアな状態になります。

ただし毛玉は取れましたが毛羽立ち、関西弁風に言うところの「ももけ」は残ります。
これも綺麗にしないといけませんが、それを取るために使うのが

ライター

そして洋服ブラシ


この毛羽立ちをライターの火であぶって焼き切るんです。

生地が燃えてしまわないか心配されると思いますが、ずっと同じ場所に炎を当ててると燃えますが(笑)
毛羽立っているところをあぶる感じでユラユラさせたら、毛羽だけ焼けます。
(髪を燃やしたときのような、タンパク質が燃える匂いが結構しますけど)

焼けた毛羽は茶色く変色します。
それを洋服ブラシで丹念に取り除く、それを何度か繰り返しますと表面から毛羽立ちが消えて綺麗になります。

それで直したのがこちら。

ほぼ分からなくなりましたでしょ?

もちろん修復を重ねるたびに生地は薄くなりますから、やがて寿命は来てしまいますけどね。


私は元々紳士服メーカー出身でして、色んなクレーム対応をしてまいりましたので、色々なケースを見てまいりました。
その都度、直し方などを職人の方々から教わりましたので、経験は豊富です。
直るものは自分で直しますし、自分の手には負えないものはたくさん専門のプロ達と付き合っておりますので彼らに直してもらいます。

ぜひお気軽にご相談下さいね。